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札幌市出身の彫刻家、本郷新(1905〜80年)の作品を展示する本郷新記念札幌彫刻美術館で12月11日まで、特別展「建築家 上遠野徹(かとのてつ)と本郷新の宮の森のアトリエ」が開かれている。同館の記念館は本郷の晩年にアトリエとして建設され、北海道を代表する建築家、上遠野徹(1924〜2009年)が設計した。展覧会では設計図などの資料から、2人が建物に込めた思いを紹介する。【今井美津子】 記念館は、本郷が故郷の四季を感じながら作品を制作しようと建てられた。設計は、北国の風土に根ざし、機能的な「モダニズム建築」を追求した上遠野に依頼し、1977年11月に完成した。 展覧会では、本郷が描いた構想図面や、初期や最終の設計図、2人の手紙などを展示。上遠野が描いた建物の内部や外館のイメージスケッチもあり、現在の姿と見比べるのもおすすめだ。特別展期間中は、通常非公開となっている記念館の居住部分の階段や寝室も公開している。 本郷は自宅のある東京と札幌を頻繁に行き来していたものの、アトリエ完成からわずか1年3カ月で亡くなった。これまで札幌のアトリエで制作された作品は確認されていなかったが、展覧会を企画した吉崎元章館長の調査で、自画像を描いていたことが分かった。家政婦の記録などから、彫刻の制作にも取り組んでいたことが判明したという。 アトリエは81年、新しく建てられた美術館の新館とともに記念館としてオープン。表情豊かなレンガの外壁、作品をさまざまな角度から見られる吹き抜けなど、建築としても魅力のある建物という。吉崎さんは「1年3カ月という短い間だったが、本郷新が使っていたということを感じてほしい」と話している。
◇所在地 札幌市中央区宮の森4の12の2。電話011・642・5709。開館時間は午前10時〜午後5時(最終入館午後4時半)。休館日は月曜(祝日は開館し、翌平日休館)と年末年始など。
◇入館料キャンペーン 12月11日までの特別展期間中、入館料が通常の半額(一般300円、65歳以上250円、高校・大学生200円)になるキャンペーンを実施中。
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