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ザッパーン、ザバーン……。静かな温泉露天風呂に支笏湖の波の音が響きわたる。肌触りの柔らかい湯が心地よく、いつまでも入っていられそうだ。支笏湖北岸にある「丸駒温泉旅館」は、湖とつながる露天風呂が自慢の一軒宿。電気も水道も自前の「秘湯」だが、創業100年を超えてもなお、多くの温泉ファンに愛され続けている。 旅館は1915年、福島県出身の佐々木初太郎さんが創業した。神経痛を患っていた佐々木さんが、恵庭岳のふもとに温泉があると聞き、妻のトヨさんとともに調査。未開の原生林の中に温泉を発見したという。温泉はかつて、近くの恵庭岳で採掘されていた硫黄を運ぶ馬の湯治に利用されており、「丸駒」と名付けられた。 秘湯とよばれる露天風呂は源泉100%。浴場と湖を岩で隔てただけの野趣あふれる造りは、創業当時のままという。水路を通じて湖とつながっているため、温泉の水位は湖とともに季節によって変動。まるで湖につかっているような気分になれる。加温や加水をしていないため、冬場の湯温はややぬるめだが、保温効果があるといわれるナトリウム―塩化物泉で、入浴後は体がポカポカとして温かいのが特徴だ。 現在は1日5組限定の宿泊プラン「初太郎物語」(1泊2食付き2人1室1万5400円から。消費税・入湯税別)を提供中。夕食はいろりを囲みながら、ヒメマスの串焼きやカモ鍋を楽しめる。同プランでは、いずれも支笏湖の水で仕込んだオリジナルの日本酒「初太郎」か、芋焼酎「丸駒」のどちらか1杯のサービスが付く。 旅館では飲料水も支笏湖からくみ上げて浄水しており、支笏湖の水が飲めるのはここだけ。風呂に食事に、大自然の恩恵を感じられる旅になるに違いない。
◇所在地
千歳市幌美内7。電話0123・25・2341。年中無休。チェックイン午後3時、チェックアウト午前10時(プランにより異なる場合あり)。日帰り入浴は午前10時〜午後3時。来年3月末まで、JR札幌駅から旅館までの送迎バス(片道500円)を毎日運行している(前日までに要予約)。
◇毎日フレンド会員特典
会員証の提示で宿泊料から10%割引(企画商品を除く)。日帰り入浴は20%割引。 いずれも会員証一つにつき5人まで。 |