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1858年、ノボリベッ川に自噴する温泉を利用し、旅人や鉱山労働者の湯治宿を開いたのが登別温泉の始まり。温泉街の向こうにそびえる活火山、日和(ひより)山(377メートル)の噴火で生じた爆裂火口が観光名所の「地獄谷」だ。高温の活火山ならではの多様な成分を含む湯脈を蓄え、9種もの温泉が湧出(ゆうしゅつ)することから、「温泉のデパート」と称される。泉質の豊富さは世界でも珍しく、研究者もたびたび訪れるという。温泉研究の第一人者、札幌国際大学観光学部教授の松田忠徳さん(65)は、「湯けむりが流れ、安心安全な温泉地として活況を呈しているのは全国でも登別だけ。日本人の琴線に触れるまさに“いで湯”」と評価する。
1938年創業の登別グランドホテルは、54年の昭和天皇のご宿泊以来「登別の迎賓館」としての格式と伝統を守ってきた。50年ほど前に隣の室蘭市から新婚旅行で訪れたという登別市在住の女性(79)は、「近場の旅行でも、ぜいたくな気分を味わえた」と当時を懐かしむ。 一方で他に先駆け、海外から観光客を誘致し、外国人が行き交う温泉街へと活性化させたのも同ホテルだ。 温泉は9種のうち、硫黄泉、食塩泉、鉄泉の3種の源泉掛け流しが一度に味わえる。創業当時から自慢の「ローマ風大浴場」は、漫画「テルマエ・ロマエ」に登場する古代ローマ風呂さながら。ドーム型の天井から陽光がさんさんと降り注ぎ、モダンな開放感に満ちている。
和の趣は、檜(ひのき)風呂(食塩泉)や岩風呂(硫黄泉)を備えた庭園露天風呂だ。「匂いを嗅ぐだけで副交感神経が刺激され癒やされる」と松田さんも勧める硫黄泉につかり、季節の移ろいを感じるのも一興だ。 貴賓室や去年オープンした展望風呂付き客室など上質の部屋や、四季折々の道産食材をシェフが目の前で調理してくれるビュッフェスタイルの食事なども当ホテルならではのぜいたくさだ。バイキング会場にスイーツ工房もオープンし、その場で焼き上げるバウムクーヘンのふわふわの食感が、女性客の人気をさらっている。
◇所在地 登別市登別温泉町154 電話 0143−84−2101 チェックイン15時、チェックアウト10時 日帰り入浴は12時半(月木曜は14時半)〜17時、18〜20時。無休。 詳しくはこちら ……………………………………………………………………………………………………… ◇毎日フレンド会員特典 毎日フレンド会員は、会員証提示で家族全員、宿泊は1泊2日の基本料金を10%引き(ホテル企画商品、特別日は除く)。温泉の日帰り入浴は中学生以上1500円が1200円、2歳から小学生は500円が400円
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