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◇バックカントリーは十分な準備を
ニセコ最大のスノー・リゾートを有するニセコアンヌプリ(1308メートル)の南西に隣接するモイワ山(839メートル)も小規模ながらニセコを代表するスキー場の一つだ。始まりは1919(大正8)年と古く、リフトもない時分、スキーヤーは自らの足で登り、樹林を縫って深雪斜面の感触を楽しんだ。66(昭和41)年のゲレンデ開設以降も、4メートルに達する豊富な降雪と、シャンパンの泡に例えられる上質なパウダーを求める愛好家らの人気に支えられてきた。昨今は利用客の6割をオーストラリア、香港、シンガポール、北欧などの海外客が占め、道内外からもモイワの長所を知り尽くすファンが訪れる。ゲレンデの6コースのうち、3コース(うちエキスパートコースは期間限定)が非圧雪のパウダー天国だ。
「4、5年前からふもとに活気が出てきました。地元の人との出会いもモイワの魅力です」と語ったのはニセコ町商工観光課主査のポール・ハガートさんだ。「ソムリエが選んだワインが味わえるなど上質さと日本らしい利便性を備えたふもとのカプセルホテル『ロッジ・モイワ834』も独メディアなどで大きく報じられています」と続けた。
ニセコは、スキー場外の天然の山林を滑降するバックカントリースキーの聖地でもある。モイワも例外ではなく、過去には雪崩リスクの高い斜面に立ち入ったスキーヤーらによる死亡事故も発生している。こうした事故を未然に防ごうと2001年に地元自治体やスキー場関係者で組織した「ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会」が、モイワの山頂付近の2カ所(アンヌプリは8カ所)に場外斜面に通じるゲートを設けた。場外へ向かうスキーヤーらにゲートの通過を呼びかけ、ビーコン(雪崩捜索用の電波受発信機)の携行を勧める。「ニセコルール(スキー場内および場外滑走者の安全のために策定した地域の公式ルール)」を提示し、安全滑走の注意も促してきた。
以来、ニセコではゲート通過者による死亡事故は起きていないが「場外で100%安全な斜面はありません」と商工観光課の前原功治課長は断言する。「自然公園への立ち入りは自由意思に任されるが、十分な知識を持って臨んで、と情報提供を続けています」。モイワの天然斜面を楽しむにもそれなりの準備は欠かせないのだ。
◇所在地
ニセコ町ニセコ448(0136・59・2511)。8〜16時(3月31日まで)。 4時間券3800円▽1日券4300円▽60歳以上3800円▽小中生600円。
◇毎日フレンド会員特典
会員証か携帯・スマートフォンのクーポン画面提示、または指定割引券提出で、 1日券4300円が4000円になる。
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