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札樽自動車道を降りてまもなく現れたのが、古式ゆかしい石造りの醸造蔵、田中酒造の「亀甲(きっこう)蔵」だ。1905(明治38)年に建てられ、今も現役で地酒の味を守り続けている。
亀甲蔵では精米から麹(こうじ)づくり、仕込み、瓶詰め、出荷までを行っており、作業の様子を見学できる。年間を通じて仕込みを行う「四季醸造蔵」は夏でも冷涼な同蔵ならでは。 杜氏(とうじ)の寺尾光司さん(39)の案内で、醸造蔵に一歩足を踏み入れた途端、馥郁(ふくいく)とした香りが鼻孔をくすぐった。「酒造りで最も気を使うのが麹づくり」という寺尾さん。麹菌をもみ込んで寝かせた蒸し米が目標の温度と水分量になるまで、深夜の作業もいとわないという。「田中酒造では、1タンクごと仕込んでおり、できた順に瓶詰めします。出荷ごとに変わるフレッシュな味わいが魅力です」とアピールした。
蔵内の店舗には定番「宝川(たからがわ)」の吟醸酒や純米酒、本醸造酒などが20種ほど並び、試飲もできる。今年は、愛別町産の酒造好適米「彗星(すいせい)」を極限まで磨いて仕込んだ大吟醸原酒「宝川」が、札幌国税局の新酒鑑評会で金賞に選ばれた。華やかな香りと芳醇(ほうじゅん)なうまみが特徴という。
お盆以降に400本限定で発売した純米酒「秋月(しゅうげつ)」(720ミリリットル1900円〜、税込み)は、秋らしくぬる燗(かん)が合うコク深い辛口。清涼感のある生酒や搾りすぎない酒粕(かす)も常連客のお目当てだ。同蔵は、焼酎やリキュールなども手がけ、14年の全国酒類コンクール・リキュール部門で1位に輝いた「梅酒 小樽美人」(500ミリリットル1620円、税込み)などの名品を生んでいる。 この秋は、全道22の酒造所で特典が受けられる「パ酒ポート」(1冊540円、税込み=参加酒造所などで販売)を利用し、小樽の老舗の地酒を心ゆくまで味わってみてはどうだろう。
◇所在地 本店=小樽市色内3の2の5(0134・23・0390)、亀甲蔵=同市信香町2の2(21・2390)。9〜18時、年中無休。 詳しくはこちら
◇毎日フレンド会員特典 清酒お買い上げ時に、会員証提示した方に冷酒グラスをプレゼント
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