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国内生産量の実に95%が北海道産という昆布。ヤマトタカハシ(本社・福井県敦賀市)会長の北村裕さん(61)は「だし昆布以外の食べ方を若い人に伝えたい」と1993年、七飯町に総工費20億円を投じ、シアター、博物館、工場、直売コーナーの4施設を備えたPR館を建設した。
全国でも珍しいドーム型シアター「イマジカドーム」(147席)の直径16メートルのスクリーンには、昆布の生育に不可欠な流氷の出発点、アムール川周辺の空撮映像や昆布漁の様子が頭上に投影され、迫力満点。海外にも口コミで広がり、集客に一役買っているようだ。
隣のコンブミュージアムでは、昆布の生態や人との関わりを展示。地元の小学生が訪れ、昆布に含まれるアルギン酸繊維を配合したパイオニア社製のオーディオスピーカーの振動板などを熱心に眺めている。 工場から直売コーナーに毎日届く、作りたてのオリジナル昆布製品は約170種類。人気は、観光バスの乗務員も御用達という昆布の短冊が入った「昆布しょうゆ」や、焼き昆布にあめをかけ、ゴマをあしらった菓子「焼ごま昆布」など。表皮を削った白色のとろろ昆布もぜいたくな味わいだ。みそ汁やスープで供される試食、試飲も当館の売りだ。
同社のルーツは、北前船が昆布などを北海道で買い付け、関西や沖縄などに運んだ江戸時代にさかのぼる。当時、京都で海産物商を営んでいた「大和屋」が明治30年代に敦賀市にのれん分けの後、49年に昆布卸・メーカーの「高橋商店」(87年、現在の社名に改称)を創立した。 同館を訪れる台湾を筆頭とする外国人客は、2013年度には13万8500人に達し、14年度は先月、それを上回る盛況ぶりだった。中国や東南アジアなど海外に商機を見いだす一方で、同社には「もっと国内、とりわけ道民に味わってほしい」との思いも。 今月10日、コンビニエンスストアチェーンのローソンと提携し、当社が開発した「おぼろ昆布のシート」を巻いた2種の具材のおにぎりを全国で発売。たちまちネットで評判となり、生産が追いつかないほどの売れ行きという。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇所在地 七飯町峠下32の1 電話 0138−66−2000 9〜17時。無休(12月31日と1月1日は休館)。北海道新幹線新駅「新函館北斗駅」から車で5分 詳しくはこちら ……………………………………………………………………………………………………… ◇毎日フレンド会員特典 会員証または指定割引券提示でオリジナル昆布製品プレゼント
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