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札幌市厚別区にある「北海道開拓の村」は、明治から昭和初期の建築物を移築復元、再現した野外博物館だ。総面積54・2f、札幌ドーム10個分もの広大な敷地に、50以上の歴史的建造物が並ぶ。官公庁や商店、農家住宅などがあり、当時の街並みをリアルに再現。一歩足を踏み入れれば、まるで昔の北海道にタイムスリップした気分を味わえる。 村の玄関口となる旧札幌停車場を通り抜けると、メイン通りの両脇に開拓使札幌本庁舎、旅館、商店、郵便局などが建ち並ぶ。村内の建物のほとんどが実際に使用されていた。商店や医院は一見和風の建物だが、上げ下げ式の窓やベランダなど、西洋建築の技法が取り入れられている。すべて建物内部に入ることができ、タンスや小物などは実物も設置。奥から店の主人が出てきそうに感じるほど、当時の生活を肌で感じることができる。 入り口すぐの市街地群から奥の農村群へは、馬が客車を引く馬車鉄道(馬鉄)に乗って移動できる。札幌の馬鉄は明治期に石材運搬用として始まり、次第に市民の足として重用された。全国的に普及したものの、電車への転換とともに姿を消した。現在、国内で実物に乗車できるのは開拓の村だけという。 今季から、新たに学芸員による無料の見どころガイドをスタート。当時の生活文化などの解説を聞けば、より展示を楽しむことができそうだ。5月の連休には、こいのぼりや五月人形など端午の節句を祝う展示も予定している。施設を運営する北海道歴史文化財団の松井則彰さんは「コロナ禍で何ができるか、開拓の村の役割を考えてきた。見どころガイドは人同士の距離を取って行うが、質問はどんどんしてほしい」と話している。
◇所在地
札幌市厚別区厚別町小野幌50の1。電話011・898・2692。5〜9月9〜17時、10〜4月9〜16時半。休館日は、5〜9月は無休、10〜4月は月曜(祝日の場合は翌平日)と年末年始。一般800円、高大生600円。中学生以下と65歳以上、身体障害者は無料。年間パスポート1500円。馬鉄は11月末まで毎日運行(片道15歳以上250円、3〜14歳100円)。見どころガイドは前日までの事前申込制。催しなど詳細はホームページ。
◇毎日フレンド会員特典
携帯電話かスマートフォンのクーポン画面または会員証の提示、指定割引券の提出で、入場料を100円引き(グループ全員有効)。 |