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「陶芸ってお金がかかるんでしょう」「ろくろを回してみたいが難しいよね」といった向きにぴったりなのが、空き時間に手ぶらで通い、好きなだけ制作に没頭できる陶芸工房「憬楓窯(けいふうがま)」だ。2年前から通っているという書道家の奥村素紅さん(札幌市)も「土をいじるのは体にもいいし、エネルギーがわきます」と楽しんでいる様子だ。 工房を主宰する陶芸家の阿部祐二さんは2004年、岡山県の備前の土を使い、釉薬(ゆうやく)を用いず焼き締める備前(びぜん)焼の作陶を始めた。7年間の試行錯誤の末、従来のまき窯ではなく灯油を燃やす「灯油窯」で、素朴ながらも金色に輝く「金彩」の風合いを生み出した。8年前に買い求めた石狩市厚田区聚富(しっぷ)のかつて田んぼだった土地から掘った土のみで作る「聚富焼」を14年に試作。鉄分が多くてひしゃげたりと失敗を重ねたものの、焼き時間を延長したところ耐火度が増し、仕上がりが安定したという。皿など、割れやすいのが課題だが「聚富焼と呼ぶからには、よその土は混ぜない」とゆるぎない。 阿部さんが「師匠顔負けの成長ぶり」と紹介してくれたのが、4年前から工房に通う李明恵(リミョンヘ)さんだ。こちらは備前焼や聚富焼と異なり釉薬を使う磁器を制作。「雪色(ゆきいろ)」「濃萌葱(こいもえぎ)」「裏葉色(うらはいろ)」と作品のタイトルどおり、白磁のひんやりとした印象とは一線を画し、自然界の色彩のぬくもりをまとう。6月には札幌市内で阿部さんと2人展を開いた。「人生に悩んでいる時に陶芸と出合い、土に触れるうちに気持ちが楽になった」とにっこり。「暮らしのなかで心地よい器を作っていきたい」のだそうだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇所在地 札幌市東区北25東18−8−18 ☎011−785−8014 10〜22時(要予約)木曜休み。 粘土代(1キロ当たり1400円〜)▽工房使用料(1回900円)▽指導料(初回のみ2000円)ほか。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇毎日フレンド会員特典 会員証提示または指定割引券提出でグループ全員、陶芸体験者に阿部さん撮影のポストカードをプレゼント
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